ずっと楽しい仕事をしている公務員が私。
行政職員 小玉悠太郎さん
— まずは自己紹介をお願いします。
小玉:生まれも育ちも坂井市で三国出身です。高校生まで三国にいて、その後金沢の大学に4年間出ていて、市役所への就職を機に戻ってきました。
市役所職員になりましたが、当時は特別な大義はありませんでした。母子家庭で母が県の職員だったこともあり、高校生の頃から公務員の仕事しか知りませんでした。大学の友人から「公務員には向いていない」と言われましたが、むしろその言葉に反発し、既存の公務員のイメージを変えたいと思いました。
— その動機が今の小玉さんの公務員らしくないイメージなんでしょうか笑。最初の仕事はどのようなものでしたか?
小玉:最初は税金関連の仕事でした。最初の3年間は国民健康保険税と住民税の業務を担当しましたが、仕事に楽しさを感じられませんでした。日本人の三つの義務である「納税」「勤労」「教育」という観点からも表せる通り「義務」に纏わる仕事なので仕事を楽しむって感じではなかったですね。
その後、ふるさと納税の担当なって大きく心持ちが変わりました。それ以来、9年半にわたってふるさと納税に携わっていますが、この仕事は本当に楽しいです。納税の業務とは異なり、返礼品の魅力を事業者と一緒に考え、プロモーションを行うことにやりがいを感じています。
納税の仕事って正直、誰がやっても同じじゃないですか、むしろ同じじゃないとダメなんですよね。法律に基づいた正確な計算が求められ、個人の創造性を発揮する余地はほとんどなく、感謝はなくミスがあると怒られたりします。一方、ふるさと納税の仕事では、各返礼品の独自の価値を引き出し、それを事業者さんと一緒に考えて、それをサイトに登録していく。それが寄付という形で目にみえる答えが返ってきて、事業者さんから感謝される。その感じが自分にあっていたんだと思います。
小玉さんが頑張ってくれたからうちの商品を手に取ってくれる人が増えたんですよ!って嬉しいし、面白いし、やりがいがありますよね。ずっと楽しい仕事をしている公務員が私です!
人と人がつながりやすい土地柄
— 坂井市の印象を教えてください。
小玉:坂井市限ったことではないですが、福井県は人と人がつながりやすい土地だと感じています。第一線で頑張る人が多く、都会では埋もれてしまうような人材が活躍できる環境があります。地元に誇りを持ち、福井をより良くしたいと考える人々たちや実践者たちと繋がりやすい印象です。
もちろん福井には何もないとか福井なんてみたいな方もいるんですけど、私の周りには福井に愛着を持って良くしたいって頑張ってる人ってたくさんいます。
なので、私は福井のいいところはどこですかと聞かれたら、食べ物が美味しいでも、海があるとかではなく、人とのつながりやすさをあげますね。
例えば私個人の例を挙げると、福井コーヒーフェスティバルっていうイベントの実行委員会の一人としてイベントの主催しています。
それも私個人でやってるわけではなく、POSSE COFFEEの西さんの想いに共感した人が集まってイベントを運営しているんですが、やっぱりそこも居心地が良くて、コミュニティーとして居心地がいいから続いているのかなと。
— Sakai Deep Sessionsという市民参加の活動はいつ、どういった思いで始まったのでしょうか。
小玉:先にも話しましたが、ふるさと納税の仕事を通して、私が体験したのは坂井市をより好きになっていったということでした。
今現在、ふるさと納税は200社ぐらいの事業者さんがいて、1200点くらいの返礼品があるんですが、それをPRする立場にあってその魅力を知らない人に伝えられないとダメだなって。事業者さんを取材し、いろいろなお話をさせていただき、製造の過程などを教えてもらい、こだわりを知り、返礼品として紹介した商品が年間を通して40点以上あったんですよ。それこそ毎週のように何度も取材に行って。
事業者さんたちは自分たちのこだわりポイントをなかなか言語化できてないんですよね、例えば米だと他と比べて優れた点があっても、それが当たり前すぎて「別に普通やけどな」となってしまう。
でもそれを言語化しないとふるさと納税には寄付が入らないので、その魅力をずっと言語化していました。
移住定住推進課として業務をするにあたって、私は定住部門の担当になっていて、移住者を増やすっていう視点ではなくて、今住んでいる人が坂井市の価値を感じて住み続ける選択を持ってもらうっていうのが私のミッションでした。
担当になってショックだったことがあるんですが、24,5歳くらいの若い丸岡出身の子にオススメスポットを聞いたらないですね、と。
聞き方が悪かったのかと思って大学の友人が来たときに地元の飯屋に案内するとしたらどこ?と聞き直したら丸岡では選択しないと。
でもふと気がついたんです。私自身、坂井市が好きな人とだけのコミュニティーに浸かりすぎてたんじゃないかなと。
かつての自分のように、坂井市に何も価値を感じていない人もたくさんいるよねと。で、坂井市の魅力って何と伝える際にうまく言語化できなくて。
これは行政側の問題でもあるなと。坂井市は15,6年前に旧4町が合併押してできた市なんですが、いまだに旧4町の印象が強く、坂井市としての言語化をしっかりしないと伝わらないなと。
そこで、いろいろな事例を調べた時に、東海大学の河井孝仁先生(東海大学文化社会学部広報メディア学科教授)に出会ったんです。
それからブランドメッセージ作成をゴールに設定して、話を進める中で、その過程にこそ価値があるよねという話になり、若い人も誘ってフィールドワークをしました。そうすることで、まちの魅力を語れる人を増やしたいと思ったです。
まちの魅力を語れるようになればなるほど、地域に積極的に関わりたいと思ってくれると考えました。
定住施策でまちの魅力を再確認
これから人口自体減っていく中で、減っていった時なりの地域の存続の仕方ってあると思っていて、その時にまちに対してしっかりと想いを持っている人が一定数いれば成り立つのではないかと思っていて、例えば三国祭りもそう、愛着を持って祭りに関われば今住んでいる人たちでも祭りは成り立つ。数で増やした人のどれだけが祭りに参加してくれるかは未知数だと思うんです。
それならまちに住む人に価値を再認識してもらい、積極的にまちに関わってもらうようにしたいという思いがあります。若い人たちに関しても坂井市から出ていくか、残るかっていう選択をするときに、坂井市の魅力を知って選択してもらった方が良いと思ってます。
一度外に出て視野を広げるのはとてもいいことだと思います。視野が広がった時に改めて坂井市のことを考えてもらうタイミングができ、その時に坂井市の魅力を知っているのと知っていないのとで選択肢が変わると思うんですよね。
— セッションではメッセージとロゴを作って変化はありましたか。
小玉:実は、その派生事業が現在進行しています。メッセージやロゴを言語化して作るまで終わったので、そのできたモノたちを活用していくフェーズに入っていて、このプロジェクトに賛同いただいている有志の若者たちに情報発信チーム「坂井市らしさキャラバン」として福井県坂井市公式noteを運営してもらっています。
福井県坂井市公式note : https://fukui-sakai-city.note.jp/
— 坂井市の公式ゆるキャラ「坂井ほや丸」はこのプロジェクトで生まれたんですよね?

小玉:そうなんです。実は別軸で5年前からずっとやりたいと思っていたのですが、今更?と言う意見が多くて当時は頓挫したんですが、このプロジェクトでメッセージやロゴと一緒にキャラクターがいてもいいよねと市長が言ってくれました。
— なるほど、ひょんなことから生まれたキャラクターですが、今では坂井市のメッセージと名前を広く発信する一助となってますよね!
今日はありがとうございました。
小玉:ありがとうございました。